愛媛県の小さな中学校でサッカーをしていた主人公・青井葦人(アシト)。
田舎で何の実績もないアシトがJリーグチームのユースチームからプロを目指すという物語。
なかなか親しみの薄い「Jリーグのユース」を取り上げているので、「サッカー詳しくないと読めないのかな〜」ととっつきにくさがありました。
ただ読んでみるとなんだか引き込まれるんですよね。
今回は、「何がアオアシを面白くしているのか?」について考えてみたいと思います。
アオアシの舞台
ユース(高校生)世代
Jリーグのユースとは、
プロチームが将来有望な選手を子どもの時から育成して、自チームのプロを輩出するための組織のこと。
他のスポーツ漫画でよくある、「全国大会優勝」という目標ではなく、
「プロになること」を最終目的とした漫画です。
東京エクスぺリオン
アシトが所属することになるのが「東京エクスペリオン」という作品内ではトップクラスのJリーグチーム。
実際のプロ選手と同じような環境でサッカーに専念することができる環境を用意されていきます。
良く言えば「素晴らしい環境」悪く言うと「ぬるま湯」であるそんな環境の中で、作中ではしばしば高校サッカーと比較されています。
ユースvs高校サッカー
この構図が非常にリアルに描写されていて面白い点の1つです。
取り上げるテーマの魅力
「反骨心」と「育成」
アオアシで描かれているテーマはこの2つだと思っています。
ただの中学生だったアシトたちユース生がプロになるために次々ぶち当たる壁。
それを乗り越えるための「反骨心」。
また、監督コーチたちがアシトたちをプロに導きかつ試合でも勝利するための「育成」。
人を育てる一方で大会にも勝つ。
「ただ勝てばいいわけではない」という非常に難しい課題を監督コーチも持っています。
その中で監督コーチが選手たちに突きつける課題や導き方はスポーツだけでなくて仕事でも非常に参考になります。
ただのスポ根漫画ではない
反骨心と書きましたが、ただ「悔しいからやってやる!」というだけではないのも特徴です。
アオアシでは、壁を乗り越える上で反骨心にプラスされる要素として「思考」があります。
作中ではしばしば、
考える葦になれ
というパスカルの名言を引用したり、
できないことはわかった、だからどうするか、だ
というように課題と向き合い今の自分に何ができるかを考えるように促すシーンがたくさんあります。

気合いと根性で乗り越えている漫画とは一線を画す魅力といえます。
登場するキャラクターの魅力
個性や過去が明確でなおかつ惹かれる
アシトとともにJリーグのユースに入ったキャラの中だけでみても、
- アシトのようにセレクションで入ったキャラ
- 中学生のJリーグジュニアチームから昇格したキャラ
- スカウトで入ったキャラ
と3者3様に書き分けられており、さらにその中でも性格がはっきりしています。
他にも
- セレクションに落ちて他のユースチームに入ったキャラ
- 高校サッカー内でもめちゃめちゃうまいキャラ
- Jリーグジュニアチームから昇格できずに高校サッカーに行ったキャラ
など、各々の背景を明確に書き分けていてかつどのキャラも魅力的に映ります。
サッカー漫画では珍しい「サッカーを知らない」キャラにも注目
監督・福田達也の義理の妹である一条花はこの作品のヒロインとして描かれています。
アシトの母・紀子もサッカーには全く興味がないキャラです。
しかしどちらもアシトの大切な人として存在していて、サッカー以外の感情とサッカーのみに集中したい感情が入り乱れるアシトの葛藤も、繊細で注目すべきポイントだと思います。
「たかがサッカー、されどサッカー」このバランスが非常にうまいなと思っています。
サッカー漫画としてももちろん魅力的
サッカー界の構造を詳しく解説している
Jリーグのユースチームを中心に、
- 育成の制度
- 高校サッカーとの対比
- プロチームとの違い
などが描かれています。
今後話の展開として世界のクラブチームと日本のクラブチームの比較もされていくでしょう。
おそらく東京エクスペリオンは作者の理想のユースチームで、現在の日本のユースチームに対して問題提起をしている部分も垣間見れます。

現在のサッカーとリンクした戦術・練習内容
現実の世界でも使われている練習方法や戦術を違和感なく作品の中に取り入れていることも面白い点です。
何個か例を挙げると、
- オシム式パス回し
- 最強リヴァプールを打ち砕いたワトフォードのカウンターサッカー
- バイエルンの5レーン
などです。
多少サッカーに詳しいだけだと知らない様な内容が随所に散りばめられていて、なおかつわかりやすく解説されています。
個人的にはサッカーの解説が載っていると、「サッカーのこと詳しくなったな」と読後に妙な満足感を得ることができました。
まとめ
2023年1月現在、既刊30巻であり、内容的にまだまだ続くと思います。
- サッカー熱がある人
- スポーツに取り組んでいる人
- 会社で部下を育成している人
などなど、幅広い人に楽しんでもらえる内容だなと改めて感じました。
気になる方はぜひ読んでみてくださいね。
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